東京三日目

2007年11月8日
同居人に
「帰りそびれるという予想的中☆」と言われてしまいましたが
まあ彼女も彼氏が連泊中とのことだったので、楽しくしてるはず。

東京二日目は、朝姉とともに家を出て、
ネカフェで五時まで仮眠して、
それから六本木のサントリー美術館に
「鳥獣戯画がやってきた!」をみにいきました。

鳥獣戯画の絵巻は、国宝ではありながらも、
作者不明らしいです。たぶんね、かなり流し見だったから微妙だけど。

日本の漫画などに通ずる、ルーツ的なものとしても、
とても興味深いものであり、
「模本」といって、たぶん、まねして書いたものがたくさんあり、
それ以降の絵画の技術的な部分においても、
かなり意味があった作品らしい。興味深い。

ただし、絵巻は四本公開されていたけど、
一番有名なウサギの猿追いだったり、ウサギと蛙の相撲だったり
あれだけは、一見の価値があったものかもしれないけど、
ほかのものは、作者も違えばタッチももちろん違うし、
どうみても、「映画の二作目は駄作」と言った感じ。
監督も違うけど主役だけは一緒、というほうがまだいい。

「鳥獣戯画」ってなんだ?ていうことはちょっとかじれらかな。

それから、ばたばたしながらも、
さだくんの仕事が終わったのでヒルズの森美術館へ。
現代美術で注目されている36人の映像作家や彫刻家、写真、
ファインアートやVJやら漫画やら、あらゆる方面の人の作品が
展示されていて、面白かった。。
なかには、あきらかにぱっと見て面白くないなぁというのも
あったりしたし、現代美術って難しいなぁとひたすら思ったw
要は「斬新であること」でしか、今の時代に注目を集めるような
そんな人にはなれないのだろうかと、思わせるような、
そんなラインナップだったような気すらする。
もちろん、いろんなタイプのものがあったんだけど。
正統派な彫刻なんかもあったし、表現する場所や手法の新しさ、
あるいは、視点のユニークさなんかもあったけれども、
はっきりいってどれも「芸術」とよぶにはまだ未熟さを感じた。
って、いったい何様なのかと言いたいけれどww

どれも、商業的になっていくものなのかなぁと、そんな感じも。
きっとこれからさき、ああいった作家たちに注目していると
面白いことにはなっていくのかもしれないなぁと思ったけれど、
あんなふうに、ある程度認められて、あれだけで食べていけて、
一人で個展なりイベントなりできる人間が、
この世界にはどれだけいるのかなぁなんて思った。
飛びぬけて才を発するような、非凡な人間なんて、
そうそう生まれない時代のように思うよ。

さだくんは商業的な写真を撮る仕事をしている。
今は、スタジオカメラマンだ。
姉いわく、「こき使われて大変な仕事だ」
姉は広告代理店で働いているので、
「だって、タクシー呼んでください、とか、ほぼパシリに使うもん」
なんてことを言っていた。

さだくんは、写真もみてたし、二人ともじっくり眺めて、
いつのまにか終電には間に合わない時間になっていた。
ずーっと、ゆっくり眺めて、ヒルズの展望台から見る夜景も、
つかず離れずの距離でみていたけれど、
展望台が終わる頃には、さだくんから、

「手つなぐ・・・」と言い切られて、二人で手をつないで
さだくんの家まで帰った。

前に日記で書いた「スキのサイン」ちゃんと彼は覚えてたよ。

まるで十代に戻ったみたいに、くすくす笑い合いながら電車に乗った。
ずっと手をつないだまま離さずに電車を降りて、
エスカレーターで前後に並んでも手をつないでいた。

ここで終わってしまえたらいいなぁ。
そんなことをずっと思ってた。

あたしは、今の仕事をしてからというもの、
ダレともセックスがしたくない。
だってパイパンだし。明らかにおかしいし。
あそこだって、がばがばだし。病気になってそうだし。

さだくんはそれをきいたら、引くかもしれないなぁと思って、
「今の仕事きいたらさだくん引くかもしれない」といった。
「どんな仕事だったら引く?」ときくと、
「どんな仕事でも引くかもしれない」とw
「だから、聞かないでおく」といわれた。
だからいわなかった。

彼はあたしがホステスをすることにも意義を唱えたくらいだ。
たとえば風俗業をやってる人も、否定はしないけど、
自分の彼女にはやってほしくないと、ダレもが思うようなことを言っていたし。
あたしは何も言わなかった。
彼がキスをしたいと言うのでキスをした。
あたしは、心が閉じたままだった。
夢にまで見たさだくんとのキス。
本当に夢のようだったけど。

彼は、もっとさらに、夢の中なんだなぁとおもった。
なんとなく冷めてる自分がいて、楽しかった。
一年半前と逆転したみたいだね。
「おれ、最近さめてるんかなぁ」って、彼は言ってた。
今は、あたしがそんな気持ちだった。

「会ったら、やっぱりまだスキだった」と彼は言った。
「結婚するって言ってたから結婚してると思ってた」
「じゃー結婚してると思ってるのに二人で話そうって言ったの?」
「うん、もう我慢とかしたくないから、結婚してても良いって思った」って。

それじゃぁまるで、
結婚してようがしてまいが、とにかく、甘えたかっただけみたいだね。

彼はあたしの話をきこうとしないのだし、
ただたんにあたしのキスやはぐや肌に触れて、慰められるのだろう。
とても悲しかった。
熱いキスをすればするほど、涙が出てきた。悲しくて。

彼がとてもいとおしそうに、触れるのは、
やっぱりいつだって「女」なんだろうし、
彼が、だれよりも、「あたし」を見てくれる存在だと、
そう思っていたのはやはりあたしの幻想なんだと思う。
それはもう、一年半も前に気づいていたはずなのに。

悲しくて悲しくて、心がどんどん冷たくなった。
でも、体は彼を受け入れていた。
彼には伝わっていたのかもしれない。
それならまだましだね。
彼は、途中で萎えてしまった。
「久しぶりだから緊張してるのかもしれない」って、
そういうけれど。

とにかく不完全燃焼のまま、
二人とも睡眠不足で眠ってしまった。
ずーっとキスしてた。ずーっとずーっとキスしてた。
あたしたちはキスが大好きだった。思い出した。
だったらずっと、キスしつづけるだけがいいのに。
なんて、思いながら、でも、男と女からは、
セックスは切り離せないのかもしれない。
とても悲しい。

昨日書いた。
「二度と思い出すこともない、それがハッピーエンド」
あたしはそれに向かおうとしている。

「こんなもんか」っておもえたら、
あたしはきっとすっぱり過去を断ち切れるんだ。

だけど、
あたしは、
今朝彼が出かけて行った後に思い出した。
「エターナルサンシャイン」を。

「何度も何度も生まれ変わって記憶を消しても、
それでも何度も出会って何度も恋をしあった二人」の話。
あたしたちは、後何回再会することになるんだろうか?

何度も、終わりにしたいと、そう思ったのはあたしなのに。
こんな「運命」なんて、ないとわかってるのに。
あたしだけが、ずっと運命の人だと思ってるだけなのに。
わかっているのに、
でもいつか彼が、
彼も同じようにあたしのことを運命だと思ってくれるんじゃないかって、
それを期待しているだけ、だから、彼がそうじゃないのを見て、
何度も何度も絶望しているんだ。

「またあそびにきてね」

あたしはそんな台詞がほしいわけじゃない。
だけど、ここにもう一晩いたからって、
その台詞がかわるわけじゃない。

他人から何かを与えてもらおうなんて間違っている。



早く家に帰らなくちゃ。

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