あいしてるのサイン。

最近昔の恋人ばかり思い出します。
つい三月まで一緒に住んでいた彼のことや
今まで生きてきて、ずーっと忘れたことの無い彼のこと。

恋愛感情って、
必ず、必ず自分の気持ちが相手に届いたり、
相手も同じ気持ちにはならないのは、どうしてなんだろう。

ずっと、ずーっと、
いつも思ってることなんだけど
昔学校で習った国語の教科書の中に、
「好意は伝染するものだし、
相手に対しての感情は、相手も同じように感じるものだ」
っていう感じの話が書いてありました。
もしも、相手が同じ気持ちにならないなら、
それは、あたしの気持ちが、歪んでいるから、
あるいは、ちゃんと伝わっていないからなんだと、
ずっと思っていました。

だけど、それだけじゃ語りつくせない部分が、
やっぱりあるよねぇ？

どんなにすきでも、どんなにどんなに想っても、
伝わらないこともあるし、伝え切れたとしても、
だからって、相手が同じ気持ちになるわけではない。
だって、別の人間なんだもの。

だけど、大部分は、「好意」という、おおざっぱな気持ちは、
伝わるし、伝染するんだということは、なんとなく理解した。

本当に本気で想えば、伝わるんだという気持ちも、
何度も何度も、さだくんに再アタックして、
あたしの中には、すりこまれてしまった。
諦めるということが、あまりできなくなった。

さだくんと手をつないでいるときに。
親指と小指を順番に動かして、
「スキ」というサインにしていた。
そのうち進化して、親指と小指を同時に、ぎゅーっと
相手の手を抱きしめるように握った。

そのサインを、
彼はきっともう覚えていないんだけど。

どうしてあたしは今も、彼の夢を見るんだろうか。
恋人が居ても、結婚を考えても、
あたしにはずっと彼の思い出がまとわりついている。

大人はみんな、こういう思い出を、
結婚した相手と一緒にだきしめながら、寝るんだろうか？